前回のVol.01では、DXの背景についてお話していきました。本文でも触れた「2025年の崖」は、今後もDXを考える上で大事なキーワードとなります。
さて、コラム2回目となる今回は、「企業と組織から考えるDXで必要こと」を前編・後編に分けて考えていきたいと思います。
企業のDX化には政府機関のDX化が大前提。のワケ
企業レベルのデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)は、「2025年の崖」を意識した組織改革、業務改善と考えるべきでしょう。
何らかの形で情報システムを導入していない会社は存在しません。しかし、自社の中心事業において、情報技術を効果的に活用できている会社がどれだけあるかが問題です。
多くの業種おいて、後発の企業は、既存企業との差別化を図るため、情報技術を活用する傾向が見られます。
一方で、既存企業は情報技術を活用しなくても、旧来の業務の進め方とその段階的な改善で十分に稼げていました。
稼げている以上、今のやり方を大きく変える必要はない。
むしろ、後から情報技術を活用しろと言われても、今の業務の邪魔になる。
そんな顧客企業の現場の声を私たちシステム会社は数多く耳にしてきました。
しかし、これまでの10年間で世の中は大きく変わりました。インターネット回線は高速化し、世界中どこでも使えます。スマホの登場で、一人一台コンピュータをつねに携帯する時代です。
いまや情報技術は全ての人類が用いる道具になりました。この流れは今後さらに加速していきます。
もはや情報技術の活用なくして、事業の高度化は望めません。
ここで大事なことは、企業の事務処理の大半は、国や自治体から課されている義務から生じている、ということです。
よって企業のDXには、政府機関のDXが大前提になります。
また、教育機関にはデジタル化された社会に通用する人材を育てていく必要があります。
あらゆる組織、教育機関には、DXする必要があるということです。
あああ
従来のシステム導入とDXはどこが違う?
多くの組織がこれまでも情報システムや情報機材を導入してきましたが、本業の改善に結びついたこともあれば、そうでなかった例も同じぐらい多くありました。
だからこそ、「情報システムを入れても本業には影響なかった」という残念な声が聞き漏れてきたのです。
それはなぜか?
ここからは日本国内に限った課題を取り上げて進めていきます。
まず、国内企業では、情報システム部門は非中核部門とされて社内で発言力が弱い、あるいは情報システムを扱う子会社として切り離されたりしてきました。
情報システムの開発は、労働集約型で多くのシステムエンジニア、プログラマを集めて行いますが、それらの人材は、開発時には大量に必要ですが、運用時は少人数で済みます。
そのため、情報子会社は、社内でエンジニアをあまり雇用せず、システムインテグレータと呼ばれるシステム開発専業の企業に開発を委託してきました。
日本では7割を超えるエンジニアがシステムインテグレータ及びその下請け企業に属しており、業種関係なくシステムを作っています。
そのため、一般企業は「情報技術の素人」、システムインテグレータは「実業務の素人」という悲しいギャップが生じたままシステム開発が行われます。
また多くの企業が、トップダウン型ではなく、ボトムアップ型の組織で、各部門、特に中核部門の発言力は極めて高いことが多い。
よって、情報システムを導入する際に、利用部門の発言に大きく左右されることになります。
情報子会社とシステムインテグレータは、利用者の言いなりになってシステム開発が行われます。
代表取締役 鈴木将親
あああ
次回、引き続き「「企業と組織から考えるDXで必要こと(後編)」をお送りいたします。
あああ